私の物語


 神戸市須磨区白川台の小阪美鈴さんは、書道歴30年の書家。1999年に、神戸にて初個展。依頼、毎年数回、個展やグループ展を市内各地のギャラリー等で開催する一方、自宅と東灘区魚崎の教室にて書道を教える。加えて、グローバルな活動へと多忙な日々を送る。

 
 2003年、神戸ウィメンズクラブという、神戸在住の外国人の主婦たちが集まる場に、講師として招かれる。「外国の方々の反響の大きさには驚きました。書には、言葉や民族を超えて訴える力があるんですね」と小阪さん。フィンランドやスウェーデンやドイツの人々からさまざまな依頼が舞い込んだ。

 その場に居合わせた外国人の中に、英国人文筆家のダミアン・フラナガン氏(35歳)が居た。彼は西宮市に住み、夏目漱石を長年研究。英国人の視点から漱石の作品を紹介する本を出版している。

 小阪さんの書に魅せられたフラナガン氏は、漱石作品の英訳書を出版するにあたり、題字を書いて欲しいと依頼。こうして「倫敦塔」が出版された。

 「小説の雰囲気や漱石の品格を字で表現できるように、そして、漢字を知らない外国の方にも何かを感じてもらえれば・・・」と話す。好評のため、「坊っちゃん」「門」も近日発売、そして「こころ」もこれから揮毫する。

 「倫敦塔」はドナルド・キーン日本文学翻訳賞を受賞。それに伴う渡米を、ニューヨークでの個展も検討中。


 また、小阪さんは震災前に魚崎に住んでおり、書をおしえていた教室は避難所となった。友人や幼い教え子を亡くし、忘れがたい記憶が残る。震災後10年の月日が流れ、街は復興しても、この記憶は留めて置きたい。言葉と文字と墨の力で、書家としての使命感から作品発表を続ける決意をしているという。

 去年1月、「菱の実」ギャラリー(神戸市中央区西町、三菱信託銀行神戸ビルのショーウィンドウ)にて、「神戸の1月」は、決して忘れない特別な「特別な1月」なんだと訴える数々の作品を発表した。この、菱の実ギャラリーでの震災のへの取り組みは、今年も、これからも毎年継続する予定。

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