2005/01/31
震災10年で神戸の書家 忘れぬ思い 作品に
阪神・淡路大震災から10年ー。 時は過ぎ、風景は変わろうとも、忘れ得ないものがある。神戸市須磨区在住の書家がその思いを作品にし、同市内で発表している。 「愛も死も余震の中で思い知る」 小阪美鈴さんによる、心のひだに食い込んでくるような文字は、生と死が隣り合わせ立った極限的な状況を呼び起こす。 「亡くなった人、残された人の心の痛みを考えると、胸がえぐられるような気がして・・・」 書仲間だった吉田恭子さんの言葉。「具体」美術家吉田稔郎氏の妻である。二人とも震災後ほどなく鬼籍に入った。 書を教えていた同市東灘区の魚崎の教室が避難所となり、幼い教え子を失ったことも忘れられない。般若心経を仮名で丸く書いた作品を並べたのは、心が癒されることを願ってのこと。命を文字の一つ一つにこめる。