被災地から発信続け 芸術家たちの「1・17」

  2006/01/21


 阪神・淡路大震災から十一年がたつ。被災地の神戸のギャラリーでは、震災を語り継ぐいくつかの催しが開かれた。(田中真治)


書家・小阪美鈴さん

命の重み 筆に託して

 神戸市須磨区の書家・小阪美鈴さんは、内なる言葉を、墨の力を借りて吐き出した。

 力のこもった、太い線が訴える、簡潔な四文字「命の足跡」。

 「苦しみや悲しみや、いろんなことを乗り越えて、私たちは今、ここにある。日々の足跡こそ、命ではないでしょうか」

 人通りの多い、町中のショーウインドーで作品を展示するのは、一瞬でも足を止め、命の重さを振り返ってほしいから。にぎやかなこの場所が、十一年前は傷だらけで、悲鳴を上げていたことを思い出してほしいから。

 十七日は、歌手平松愛理さんの復興支援ライブに協力し、市民が寄せた「忘れない」という言葉に続く三つの歌詞を書にして舞台に掲げた。

 〈やさしい風になったあなたのことを〉

 〈あの日 泣いていた空を〉

 〈あの夜の こぼれる星空〉

 何ができるのか、毎年自分に問いかける。「神戸に生きる書家として、震災の表現を使命としていきたい」

 神戸・元町の三菱UFJ信託銀行神戸ビルのショーウインドー(菱の実ギャラリー)で二月十日まで展示。



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